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2013.07.30 Tuesday

JUKI SPUR 90Sのカーボン交換と外装のメンテナンス

ご職業で補正をされている方の90Sで、何度も修理を承っているミシンです。
当社に持ち込まれる中でも究極の改造シュプールと言えるでしょう。
外見は何の変哲もないシュプール90Sですが、
ご覧の通り内部はいたってシンプルな構造になっています。
電源部分から伸びている配線はライト用だけで
上部と背面に内蔵されている基盤を全て外しました。
外掛け専用のYDK職業モーターを改造して内蔵、
スイッチを介して電源をモーターとミシンライトに直結している
スーパースパルタンな仕様となっています。
JUKIさんからの基盤供給がなくなったけど、どうしても使いたいという
お客さまのリクエストに答えて改造したものです。
針の停止位置はバラバラでコントロールできませんが、
とにかくメンテナンスがし易く壊れにくい…
と言うか… 
壊れる部分がモーターとベルト以外たぶん有りません。
しかし、すでにモーターを3回替える程の激務に
筐体や駆動部へかなり負担が掛かっているようで、
クリアランスと言うか『ガタ』や『ヒズミ』が目立つようになってきました。
ここまでくるとさすがに買い替え時と言えます… が、
まだ使いたいとのことです。
今回のメインメニューはコレ、カーボン交換です。
今付いているモーターへ換装して2回目のカーボン交換ですが
今回もカケラしか残っておらず、2個あるうちの片方はすべて摩滅しています。
つまり完全にイッてしまっている状態と言えます。
多分、このモーターはもうダメでしょう…
このパーツを私たちはカーボンと呼びますが、
実はカーボンブラシ(以降カーボン)の略なのです。
モーターの回転している部分を回転子と言いますが、
これはカーボンから回転子に電気が伝わることで回転しているのです。
そしてこの接点をコンミュテーターと呼びます。
つまりカーボンは構造上というかモーターが回っている限り
コンミュテーターと摩擦し摩耗していく宿命にあります。
カーボンは真鍮や銅などのコイルスプリングで常に最適な圧力で
コンミュテーターと接触するようにできていますが、
カーボンが摩滅するとコイルスプリングが接触して
表面に傷を付けてしまうため、新品のカーボンに交換しても摩耗が早くなります。
そしてカーボンを消費する毎に飛び散った炭素屑がモーター内部や
軸受けに侵入し、シャフトの摩耗を加速させて
モーターの寿命を縮めていくのです。
つまりカーボンが完全に摩滅する前に交換することが
モーターの寿命を大きく伸ばすことになります。
このミシンのコンミュテーターはおそらく表面が傷だらけでしょう…
ということですが、モーター本体を交換することなく、
今回もカーボンのみを新品にしました…。
問題がもう一つ、外装パネルです。
ご自身で内部清掃をしているようで
強すぎる締め付けトルクと想定以上の過剰な着脱数により
本体と固定する接触部分が完全に破壊されています。
おまけに飛び散ったカーボンが内部を隅々まで煤けさせています。
お預かりしたときには強力なガムテープで外装パーツ同士を固定してあり
モーターの熱で溶けかけた粘着剤にオイルとカーボンの粉が付着していて
とてもお見せできる状態ではありませんでした。
なぜ、ガムテープを貼っているのかよく解らなかったのですが
剥がすとすぐにモーターのカバーが外れたので納得しました。
外見があまり美しくないのと汚れが付きやすいのでこの部分も作り直すことにしました。
とは言え、接着剤でくっ付けるだけでは、間違いなく再度破壊されてしまうので
パイプのカラーを使ってもと通りネジにより固定・着脱できるように
修理することにしました。
用意したのは破損部分を補強・再建するためのカラーです。
もう一つ必要なのが純正の倍以上長さのあるネジです。
本体にカラーをセットしたところです。
微調整してネジで固定してみます。
詳しくは秘密ですが、3箇所とも完全に固定できるようになりました。
仕上がりも非常に奇麗で通常と同じように脱着できるので
お客さまにはこの修理方法をおすすめしています。
今回は外装の補修がメインだったのかも知れませんね〜。


 
北九州でミシンの修理をするなら
2013.07.28 Sunday

baby lock BL2-205A ジューキ ベビーロック BL2-205Aのオーバーホール



2本ロックが壊れているので買い替えしたいとのお電話を頂きました。
お伺いの日程を決めてパンフレットをお持ちすると
電話してきた旦那さまが出迎えられました。
 
実は紳士服の仕立てをご夫婦でやっていたそうで
旦那さまは先に引退され、今は奥さまだけが受けでやっているとのこと。
ずいぶん前にロックミシンが壊れてから手縫いでの始末をしているが、
最近、仕事が辛そうなので新しいロックミシンを買ってやりたいとのお話でした。
 
『驚かそうと考えて黙っていたのだが急用で妻が外出してしまいトホホだぁ…
せっかく来てもらったのに大変申し訳ない』との旨を話されました。
大変恐縮されているので、気にしないでくださいと言いつつ
パンフレットをお渡しして一旦帰ってお電話を待つことにしました。
 
翌日、さっそく連絡がありましたが、
開口一番『大変申し訳ない』との口上でその後、購入お断りの旨を述べられました。
奥さまが言われるには
『あたしゃ、いつまで仕事ができるか解らないし、
今更新しい機械を覚えろというのが無理な話しだよ』とのこと。
 
旦那さんは真面目な方なんだなぁと思いつつ
『それなら壊れたロックを直しましょうか?』と提案すると。
『直せるのかねえ、古いから… できればそれが良いのだけど… 』との話しです。
再度お伺いしてミシンを拝見することに。
 
ベビーロックのBL2-205Aが寂しげにカバーの下に佇んでいました。
『多分直せますよ〜』と言いつつ、8年前の話しをお聞きしました。
ズボンの裾を始末しているときに突然止まってしまい
奥さまに言うと『何とかなるから』と言われ
修理に出そうと思いつつ時が過ぎて機会を失い、
今日までそのままにしておいたとのことでした。
 
拝見したところ全体的な使用感や汚れ具合から
カーボンではなく内部の固着による停止だろうと思いました。
改めて修理にて依頼をお受けして
BL2-205Aをお預かりすることにしました。
 
前面のパネルを外し、ベッド下と背面カバーを外してから
外装パーツも全て外して個別にクリーニングします。
内部のギアは溶剤で古いオイルとグリスを洗い流して
プーリーを前後に回しながら固着箇所を特定します。
固着した場所がすぐ特定できたので
新品の入れ替え用パーツにクリアランスのマージンをとるため
少し研磨を施してからオイルを塗って組み付けます。
 
注油のあとグリスアップして各部を取付けてからオイルの落ちるのを待ちます。
その間、止まった時間を洗い流すためクリーニングに取りかかるとしましょう。
 
充分に落油させてから試し縫いです。
低速から滑らかに立ち上がるスムーズな動きで
8年ぶりにルーパーが規則的で複雑な模様を編み始めました。
 
ベッドの角にペイントロスが少しあるものの
大変奇麗な仕上がりになりました。
旦那さまの優しさが心に響く修理となりましたが、
奥さまには気に入ってもらえるでしょうか。


 
北九州でミシンの修理をするなら
2013.07.26 Friday

JANOME JASMIN JF410 ジャノメ ジャスミンJF410のコードリール交換とオーバーホール

オーバーホールでお預かりしたジャノメ ジャスミン JF410ですが
アイロンを使っているとき不注意でコードを焼いてしまったとのことでした。

銅線がむき出しになってしまったのでビニールテープを巻いていたとのことですが、
ビニールテープが引っ掛かり巻き取れないので不便だとのことです。
不便だけならまだ良いのですが、ショートして発火する危険性があるので
コードリールごと交換することをおすすめしました。

その他に針板がかなり厳しい状態になっていたので交換、
テーブルに当ててヒビが入ったプーリーも交換することにしました。

とにかく壊れたパーツはすべてメーカー純正で新品にするので
取り寄せに2日ほど余分に日数をいただきました。
ともあれ外装を全て外してクリーニング後に
充分オイルを回して再度外装を組んで寝かせておくことに。

パーツの到着です。
色々なメーカーさんとお付き合いがありますが、
ジャノメさんやブラザー、ジューキ、JUKIさんなどは
担当営業さまの迅速な対応もあり、
早ければ翌日にオーダー品が到着するので感謝しております。
お急ぎのお客さまもおられるので非常に助かります。

底面と裏面を外してコードリールの交換を開始しです。

コードの接続は2箇所で配線の通し方にコツがあります。

背面の制御基盤に差し込みがあるのでカバーを外します。

コードリールの本体を付け替えたら配線を組み直します。
カバーを付ければ背面の制御基盤は完了です。

スイッチBoxにもコードの接続があります。

スイッチBox側のコードを接続してから、
通電を確認してコードの出し入れチェックに移ります。
コードの引きテンションも充分ありました。
コードリールの正常な巻き込みを確認して交換完了です。

問題の針板ですがかなり使い込んでいますね〜

もう少しで送り歯のスリットと針板の穴が一つにくっつきそうですね。
ここまでになればパーツも本望でしょう。
敬意を込めて交換させていただきます。
お疲れさまでした。

再度外装をピカピカに仕上げて完了です。





北九州でミシンの修理をするなら


2013.07.24 Wednesday

baby lock BL54 ジューキ ベビーロック 衣縫人 BL54で上ルーパーの交換とオーバーホール




衣縫人 BL54で作業中に針止め組が突然、落ちたとのことです。
“あっ”と思ったとのことですが、そのまま惰性で動いたため
針止め組が上ルーパーに激突してはじけ飛び
上下のルーパーが噛み合うようにして止まったとのことでした。
 
針止め組を固定する構造は、シャフト2本で接続パーツを止めて
極小の六角イモネジでそのシャフトが脱落するのを防止しています。
時折、イモネジが緩んでガタつくことがあり、気が付かずに長時間使用していると
このようなことが稀におきます。
 
イモネジが緩むと異音やガタつきによる縫い目の飛びなどの症状がでるのですが、
糸調子や切りクズ、構造上布埃が溜まりやすいことも加味すると
3年に一回はクリーニングを兼ねたチェックをおススメしますが…
状況が細かく把握できたので今回は悩まなくてよいかと思っていたら
そうはいきませんでした。
 
上ルーパーを2本の針と接触しないように調整すると
下ルーパーが上ルーパーの腹を擦り、
下ルーパーと接触しないようにすると
上ルーパーが針を折らんばかりに曲げるという
ジレンマに陥ってしまいました。
 
こっちの隙間は8.5mm±0.1で…
あっちの隙間は0.8mm±0.3で…
整備マニュアル(正規取り扱い店でなおかつ(株)ジューキさんでキチンと分解・整備の
研修を済ませるともらえます)を見ながら数値的に整合性をとっていっても
セッティングが出ません…
 
さんざん試して、悩み抜いたあげく
上ルーパーが怪しいのでは…と、しげしげと眺めてみます。
鍛造部品のようでかなり高強度に作られています。
 
うゔ… 私の常識ではコレが変形するとは考えにくい…
悩んでもしかたがないので
“デフォルト状態の部分はいじらない”という考えに基づいて
上ルーパーを交換することにしました。
 
部品が届いて値段をみると普通の部品の10倍くらいの金額なのでビックリ…
やっぱり鍛造でおまけにステンレスの極細チューブが
取付けられているからなんだろうなあと独りで納得。
 
新品と並べたあとマジマジと見てみます。
ホントに変形してるのかなぁ…
注文したものは仕方がないのでさっそく組み付けることにしました。
あら不思議。
2、3度調整するとなんとか編み始めたではないでしょうか。
やっぱり変形してたんだ…
細かく調整していくとすぐに
本来の調子を取り戻すことができました。
 
う〜ん 奥が深いなぁ と思いつつ仕上げ磨きに取り掛かりました。


 
北九州でミシンの修理をするなら
2013.07.20 Saturday

JANOME Digitizer MBX ジャノメ デジタイザー MBXの実力!!

お待たせしました…(誰に言っているのでしょうか?)

MBXをじっくりと使う暇もなくbrotherの刺しゅうPRO NEXTが届いてしまいました。
完成度の高いインターフェイスとハーフトーンの表現力に心奪われてしまい
気が付くとNEXTにかかりきりになっている自分に気が付きました…

などと言っているうちにMBXのデモの依頼があり、
内蔵データだけでは芸がないので
オリジナルでレースのコースター用データを作ったりと
バタバタしているうちにブログの掲載が遅れてしまいました。

今回のデモに使用したオリジナル刺しゅうコースターです。
手編みのレースではほぼ再現不可能な緻密さと完成までのスピードです。
もちろんイニシャル入れ・量産・商品としての販売も可能です。
これを水溶性シートに刺しゅうして水で洗い流せば
レース部分のみが残ることになるのでレースのコースターが完成します。

と言いつつも、夜な夜な時間をつくって作業した甲斐があり
例の浮世絵の刺しゅうデータ作成が完成しました。
と言うことであとは縫うだけです!!

ここでHyper Craft900(HC900)の登場です。
データさえ読み込んでしまえば、あとは糸替えと渡り糸のカットのみ、
全てオートで描画していくので仕上がりを待つだけです。
正確無比、メカニカルで軽快な刺しゅう機の動きは
ずっと見てても飽きませんよ〜

美しく緻密に仕上がっていきます。

ディスプレイのカラー表示は鮮明でかなり解りやすいですよ〜。
もうすぐ完成です。

はい! 完成です。

H20XW10cmでこの精密さはなかなか難度が高いと思います。
細密な描写では針落ちが集中するので縫い締まりがおきて布地が固くなるため
ブレが少なく高精度で貫通力と針抜きの強い刺しゅう機が必要となりますが
HC900なら安心して仕上がりを待つことができました。

刺しゅう機のデモと刺しゅうソフトの初心者講習会を受け付けています。
刺しゅうデザイナーを目指している方!
作品のクオリティーを上げたい作家さん!!
この夏! オリジナル刺しゅうにチャレンジしてみませんか?



北九州でミシンの修理をするなら


2013.07.18 Thursday

夏休みのソーイング特別企画を開催します。

夏休みの特別企画として自由研究にぴったりな
可愛いピアノポーチやお洒落なシュシュ作り教室を受付中です。
基本的には家庭科の授業でこれからミシンを使う
小学5〜6年生とそのお母さんが対象なのですが、
ミシンにご興味のある方、チャレンジしてみたい方ならどなたでも大歓迎。
学校で実際に使っているスクールミシンと同じ機種で
ソーイングができるので家庭科の授業がもっと楽しくなるでしょう。

1〜2時間で完成するようにキットを準備しているので初心者の方でもOK。
ワンセット講習費込みで1,000〜1,200円とリーズナブルです。
女性講師が優しくお教えしますので
初めての方でも安心して作品を作り上げることができます。
ご希望の方には刺しゅうミシンによる実演も行いますので
お気軽にお申し付けください。



また、常勤の日本手芸普及協会講師による
秋期ミシンキルト講座も予約受付を開始しました。
初心者の方でも楽しめるように少人数制を採用していますので
気の合うお友達とご一緒にいかがでしょう。
文化の秋、精緻で美しいミシンキルトの世界に挑戦してみませんか。
詳細は下記ブラザー黒崎までお問い合わせください。




北九州でミシンの修理をするなら



2013.07.16 Tuesday

brother TA2-B622 Special3 ブラザー職業用ミシンのメンテナンス

最近依頼をうけることが多いブラザー社のB622職業用ミシンですが、
なかなか使い込まれた一台をお預かりすることになりました。

長いあいだ勤めていた縫製工場が閉鎖するときに貰い受けて以来、
ずっと側に置いてきた大切なミシンだそうです。

押さえを上げたとき上糸皿がフリーにならず糸が出ないので使いにくく、
ニーリフターが動かなくなったため便利が悪いとのこと。

今回の整備は上糸調整ダイヤル周辺を重点的に行おうと思います。


とりあえず、本格的な整備は一度もしていないとのことなので
分解しながら各部をチェックしつつ、クリーニングを開始しました。

面板を外すときにきに気になったのですが、
ミシンライトを装着するブランケットのスリットに
ネジをかわす穴が無いため、ネジを完全に外してしまわないと
面板が外すことができなくなっています。
あまり面板を外すことはないでしょうが、
今後の利便性を考慮してネジをかわす為の穴を
スリット入れることにしました。
剥離しかけたキズ防止のラバーも張り替えて
スリットの下部を丸く削り込んでいます。

面板を固定しているネジを緩めるだけで
ブランケットと面板を外すことができるようになりました。

上糸調子のダイヤルをかなり絞りこんでいるのでここも気になるところです。
クリーニングを兼ねて完全に分解することにしました。

糸調子皿を押すプッシュロッドが摩耗して短くなっていたので
ステンレスの鋼線から新たに切り出すことにしました。
受け側もかなり凹んで変形していたので
パーツを潰してこれ以上薄くしないように注意しながら
形成し直して組み付けました。




これが正常な状態です。
調整ダイヤルの絞り具合もまずまずでしょう。
シャフトの角度もデフォルトで最良のテンションが掛かるように
糸取りバネを細かく調整しました。

また、使用中に糸立てのシャフトに糸が絡まるとのことで
ご自身でいろいろ加工をしていたため
一旦、純正の状態に戻して糸立て台座の塗装が摩耗しないように
プラスチック系素材で糸置き用のプレートをワンオフで制作しました。

この素材、ほどよい厚みと弾性があり加工しやすく
摩擦が小さくて劣化に強いので重宝しています。


納品にお伺いしてヘッドをテーブルにセットして
ニーリフターとの接点をきちんと合わせてから
作業用の椅子に実際に腰掛けてもらって膝の当たり具合を見ます。
奥行きと角度を使いやすく調整して今回の依頼も終了となりました。





北九州でミシンの修理をするなら



2013.07.06 Saturday

糸立てのススメ 簡単で効果抜群な上糸調子のトラブル回避法

私の仕事はミシンの整備なのですが、家庭用ミシンが一番多いとして
市町村からのスクールミシンの修理依頼を除くと
職業ミシンを整備する割合がかなり多いと思います。

仕事で使っているのだから当然ですが、
まぁ非常に厳しい方が多いです。

例えば…
『あ〜っ コレ部品がないので3日程お預かりして
部品が届いてから整備しましょかね〜』と言うと

『あなたプロでしょ! 今すぐココで直しなさい! 
時間が無いのよ! 間に合わなかったらどうするの!!』とか言われます。

燃える瞳の奥に映るのは…
ゴムが入れかけのフラメンコの衣装だったり、
山積みになっているお直しだったり、
クマの顔の可愛いポシェットだったり、
使い方が想像できない不思議なカタチのものだったりと色々ですが…

そして、貸し出し用の職業ミシンと引き換えにお預かりして帰ることになります…

前置き話しはこれくらいにして…

最近、ブラザー TA2-B622 Special3をお持ちのお客さまより
上糸調子のトラブルでご相談を受けました。

B622は非常に優れた職業ミシンなのですが
一つ回避しなければならない問題があります。

糸掛けが低いため糸ヨレが伸びきれない状態で
第一テンションまで糸が流れてしまう現象が起こり、
断糸や縫い目が飛んだりあばれたりしてしまうことがあります。

長年ミシンを使っている方でもこの事には以外に気が付かないようで
いろんなところを調整しても直らずに『このミシン糸調子がダメ』とか
「最近ミシンの調子が悪いの」という一言で片付けられるこもしばしば。
しかし、上糸調子において糸流れは生命線とも言えるほど重要なのです…

また、前置き話しになっていますが…

ここでおススメしたいのはコレです…
ただのヨレヨレな段ボール箱ではありません。

箱を開くとこのような感じです…
この状態だと何だかよく解りませんよね…

組み立てると大きな糸立てです。
組み立て図面が入っていない、
とても不親切な商品ですがこれが非常に使えます。

この『糸立て』はB622に限らず高速で縫う場合の
上糸トラブルを激減させてくれます。

糸巻きから糸立てまでの距離のみならず、
糸立てから第一テンションまでの距離を充分に確保できるので
糸にヨレが残りにくくスムーズな糸流れを実現してくれるからです。

話しが長くなりましたが私の仕事の範疇には
事前にトラブルを回避するアドバイスも含まれます。

男の言うことは信用できないと聞き流さず…
またお金のかかる話しかとあきれず…
めんどくさいと読み飛ばさず…

一考されてみるのは如何でしょうか。
職業でミシンを使われている方は必読・必見ですよ〜。




北九州でミシンの修理をするなら


2013.07.01 Monday

brother HA4-B1 ブラザー HA4-B1型 家庭用キャビネットタイプ足踏みミシン ミシンライトの修理


家庭用キャビネットタイプの足踏みミシンとして
昭和30年〜40年代に販売された
ブラザー社製のHA4-B1鋳造製ミシンです。

 
 
グレイッシュブルーのほかにブラックやツートンなど
カラーバリエーションが多く
後年に発売されたフェイスプレート
糸調節ダイヤルが付いているタイプなどがあります。
 
ひとつの時代を築いたアール・ヌーボーのデザインから
アール・デコ様式へと力強く流れが変わるような
大胆なデザインの変更が行われたモデルです。
 
今回はポータブル改造されたものを
電球交換を含むオーバーホールでお預かりしました。
このタイプではロック球を使用していることが多いのですが
100V15〜20Wのものは現在製造されておらず
手に入らない状態になっています。
 
実は少し前に100Vのロック球を見付けて喜んだのですが、
40Wもあるため明るすぎるのと熱くなりすぎるので
ガッカりしたことがありました。
回転灯専用の電球はミシンには使えないものなのだと
シッカり学習しました。
まぁ、今後のことも考えてソケットごと一般的な
スクリュータイプに入れ替える方が良いかも… と考えています。
確認してみると思った通りに乳白のロック球が使われていたので
ソケットごとスクリュータイプの電球に変更することにしました。
 
先に本体のオーバーホールを済ませてから
オイル落としの待機中に配線ごと外してソケットを
交換することにしました。

しかし、ケーブルまでボディーに合った青い色なので
もったいないのでソケットだけを
スクリュータイプに交換しましょう。
今回の作業はここからが本番でしょう。
入替用のソケットはスイッチと一体式になった
シンガー社の職業用を使用しました。
 
当然ですが取り付けがまったく違うので
かなり手を加えることになりそうです。
仮組するとスイッチシャフトのカバー基部が太くて
金枠のスリットにまったく入りません。
 
もう少し奥までソケットを入れないと
電球の先端が金属枠に干渉してしまうので
とにかく取り付け部分を広げて
ソケットを奥に組み付けるしかありません。
加工法はグラインダーで穴を広げてヤスリでバリを取ることにします。
金属枠の加工だけではなく
ソケットのスイッチ基部にも左右に1mmほどのスリットを入れ
金口部分にも同じように溝を彫りソケットに
金枠をはめ込むことができる所を3カ所ほど作り
厚めのワッシャーを噛ましてネジで固定します。
これでスイッチの基部2箇所、金口で1箇所、ネジで1箇所固定しました。
これでほぼ完成です。
電球を装着すると金属枠に干渉する可能性があるので
リブを一本削り落としました。
最後にクッション性のある強力な両面テープを
干渉する部分に貼って、振動防止とズレ・ユルミが
でないようにしてからネジで固定して加工の完了です。
 
う〜ん… 奇麗に仕上げようとすると手間が掛かります。
 
後は配線を筐体に通してから固定して
金属枠ごとソケットを取付け電球を入れれば完成なのですが、
枠を固定する2本のネジが非常に締めにくいので
挑戦してみる方は磁性の強いマイナスドライバーを
用意していたほうが良いと思います。


 

北九州でミシンの修理をするなら
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